『誘惑〜Induction〜改訂版 STAGE-3』

表TOP 裏TOP 裏NOV BBS 2<3>4

 身体の熱を覚える時、それを見下ろす自分に気付く。
 獣の衝動、刹那の愉悦、昂揚と思索…すべてが手に取れる程近いが手は伸びない。
 静謐の外ですべての景色が流れる。
 目の前で揺れる、一片の花びら。

 新館の病室の中でも特別室とA+ランクは市立病院としては守崎の知っている限り例外的に差別化されていた。大学病院などならばまだしも市民病院らしからぬ滞在型ホテルに近い設備は以前勤務していた病院と同じ過剰な豪奢さで医師を辟易させる。
 棚の上に並ぶ上品に生けられた花々の控えめな香りの中、守崎はつい先刻まで少女が向かっていたノートを捲る。年齢相応な子供の丸文字とは異なる流麗な女性的な文字で綴られた学習内容は要点が的確に纏められており大凡の成績は想像出来た。事故直前の日付で記述が途絶えた最後のページに挟まれたメモはギプスで指先しか出ていない利き腕で書こうとしたのか乱れた筆跡で、読み取れはするが記述は断念したらしい。入院中で利き腕が封じられている上にまだ身体の自由が利かないのだから大人しく安静にしておけばよい所を真面目に勉強していた少女に、守崎の口の端がわずかに歪む。
 消灯一時間前の巡回を終えた頃を見計らって病室を訪れた男に、何が起きたか判らない様な無防備な表情の後赤面した少女に指示を出し、そして今ユニットバスの扉が開いた。
「どうだった?」
 顔全体を真っ赤に染めた少女が俯いているのは、指示された内容を今行ったばかりなのが異性の患者として気恥ずかしいのだろう。
「あ、あの……大丈夫…でした」
 聞き取れなくなる寸前のか細い声の後、ぶるぶると何度か首を振り何か迷っている様な仕草で柔らかな生成のネグリジェの胸元で指を揺らめかせてから少女は決意した様に一礼して顔を上げる。
「これで安心出来ます。ありがとうございました」
「――何か解決したのか?」
「え……?」
 自分の身体に異変がなかった事を安堵した様子の少女に男は軽く嗤う。
「そうだな…ああ、そうだ。俺の万年筆はどこにある?」
「あ! 申し訳ありませ…ん…でした……」
 引き出しから細長く畳まれたレースのハンカチを取り出した少女がまたも俯いて差し出したのは、中庭で見た物と同じ医師のなくしていた万年筆だった。
 何故あの場で渡さなかったのか、やや内気そうな少女の内心を探る様に受け取った万年筆を顎の下に添え、軽く力を加えるだけで従順に赤面した清楚な顔立ちは男へと上げられる。問いつめてみたい反面、少女が男女の駆け引きを意図して狙えるとすればそれはそれで興醒めに思え男を止めさせる。
「確かに俺の物だ。お礼をしよう。何がいい?」
「そんな、お礼など…私こそ先生にお礼をさせて頂きたいです」
「規定で心付けは禁止されている」
 表面的な規定であり内実は横行しているのはよくある話で、小さな物では茶菓子で上は当然現金である…が目の前の少女にそれを話しても意味はない。
「髪を洗うか」
「え?」
「その髪では毎日手入れをしていただろうが、入院後は精々無水シャンプーしか使えていまい」
 入院患者との接触の多さで洗われていない髪をよく見る医師としては汚れていると認識する程ではなく、男としては多少損ねていると思える程度だったが、指摘されたのが恥ずかしくてならなかったのか少女の大きな瞳が泣き出しそうに一気に潤む。
「あ、あの……洗って、洗ってきます」
「その腕でか?素直に任せておけばいい」
「ですが…先生のお手を煩わせてしまうのは……」
「確かに手慣れているとは言い難いが…。気にするな」
 壁際のソファでなくこれだけは相部屋と同じ丸椅子を持ち医師はユニットバスの洗面台の前にそれを置く。
「来い。消灯前に済ませた方がよかろう」

 看護婦や介護士ならば患者の清拭などは慣れたものだが医者が介護までする事は基本的にない。女と共に入浴しても身体を弄ぶついでに洗う事があっても奉仕する性分でない男が女の髪を洗った事などなかった為、理容店で店員に洗われる記憶を元に真似をするしかなかったが、とりあえず少女から不満を訴えられる気配はない様だった。
 顔に薄布一枚掛ける事がない為に間近で眺められる少女の顔に、男は小さな頭に軽く指を立てマッサージをしながら目を細める。
 湯で温められただけでない火照った身体の反応は丸椅に腰掛け無防備に上半身を仰向きに横たわらせたその胸元を見ればよく判る。生成の柔らかなネグリジェの優雅なレースとピンタックの上からでもはっきりと見て取れる頂の先端。レース越しにも広い胸ぐりからも判る白磁に淡い薔薇色を差した上気した乳房は仰向けの体勢でもなお形よい乳房の張りで形をさほど崩さず、だが男の腕が当たれば絶妙な弾力で受け止める。腕がその先端に掠る度に確かにつんと勃つ小さな突起の感触が当たり、悪戯心を刺激された男の腕に押され、引っかける形でくにゅりと捏ね倒され、弧を描く様に撫であげる。まるで痴漢行為の様な紛らわしく執拗な愛撫の愉しみに男は自嘲した。
 何かある度に気恥ずかしげにキツく瞳を閉じた少女の肢体はぴくりと震え、かすかな吐息が頭を抱えて髪を洗う男の胸板の辺りのシャツを甘く湿らせる。三回に分けて洗う漆黒の髪は細くしなやかであっても長く量も多い為、使うシャンプーの量も比例的に増し広いユニットバス内に香料の甘い百合の香りが籠もり噎せ返りそうになり、腕の中のたおやかな肢体のかすかな痴態と相俟って眩暈を覚えそうになる。
 形良い耳の裏についた細やかな泡を指で撫でて掬った瞬間、明らかに少女の身体が震えた。
「――どうした?」
 ぶるっと身体を震わせた少女が悩ましく濡れた瞳に戸惑いを浮かべて腕の中から男を見上げてくる。胸元と同じ白磁の肌が薄桃色に上気し小振りな唇が乱れる吐息にかすかに開いている様が優美な顔立ち故に尚更に劣情をそそった…しかも酷く嗜虐心を煽る形で。
「あの…ぁ……いいえ……、少し…こそばゆい気がして……」
 躊躇いがちな口調の少女の婉曲な表現に男は薄く嗤う。性的な刺激とこそばゆさの区別がつかない程子供でもあるまいに、その上で刺激はあるのだと報告する少女に男の悪戯心が騒ぐ。
「舌を出せ」
 不意の男の言葉に少女がはっきりと身体を強張らせたが、その瞳に浮かんだのは怯えより戸惑いと羞恥の方が強かった。
 昨日は不意打ちの形で舌を絡めたが今は予告も同然の状態で、それが淫らな行為に続くと判っているのだから躊躇うのも頷ける。だが逆らわれて不快に感じると思いきや、即座に応じない少女の当然の慎みにより一層被虐心を煽り立てられる。
 シャンプーの泡にまみれたままの頭をくいと軽く傾けさせ顔を寄せた男に、わずかに視線を彷徨わせた少女は小さな声を漏らした。頭を抱える形で洗っている体勢に、小動物か小鳥の様な少女の早い鼓動が男に伝わりぞくりと腰から背筋に劣情の疼きが這い昇る。
「ぁ……、ぃけ…ません…お願い……します」
 甘く震える無力な哀願が守崎の耳をくすぐった。そのまま押せば流される女の形ばかりの拒否を聞き慣れている男は、至近距離から少女の羞恥に染まった顔を見下ろしつつゆっくりと耳の後ろを指先で撫で、細い顎を軽く噛む。びくんと華奢な肢体が震え、膝の上に置かれている両手が頼りなく震える度に両腕の間で寄せられているたわわな乳房が生成の寝衣の下で卑猥に歪み捏ねられる。
 レースとピンタックの施されている繊細な作りの寝衣は清楚で可憐な印象のものだが、悩ましく震える細い身体と豊かな乳房を飾ると酷く背徳的で男を嗜虐へと唆す衣装の面を強調していた。清楚であればある程淫らに穢したくなる、少女に似合い過ぎる姿だった。
「気の迷いで唇を奪ってもいいのか?」
 浅く呼吸を乱す少女が男の言葉に切なげに視線を注いでくる。少女の初めての接吻を奪い貪ってしまっても許されそうな、戸惑いと羞恥の混ざった風情に男の背筋にぞくりと劣情が這い昇り、興奮を感じる一方で頭の芯が冷えて狩りや賭事に似たゲームを客観的に愉しむ感覚が増していく。いつもそうなるのではなく、くだらない娯楽に過ぎない場合も少なくないのだがこの少女はどうやら自分を愉しませてくれるらしい。
 ゆっくりと覆い被さっていく男に少女の上気した顔に影が落ち、戸惑い恥じらう表情の中、黒目がちな大きな瞳が頼りなげに揺れる。あれだけ舌を舐られてもまだ抵抗があるのか、それともあれだけ舐られたからこそ抵抗があるのか、小振りな愛らしい唇が震え浅く乱れた吐息が零れ男の口元を甘く湿らせた。
「――思う男はいるのか?」
「……。わかりません……」
 屋上で交際や経験は聞いたものの重要な事を忘れていたその問いへの返答は相手をはぐらかすものではなく、少女自身が戸惑っている様子だった。小説や映画の偶像にでも憧れていてもおかしくない年頃の少女の答えに、男は軽く笑いシャンプーが付いたままの指で少女の耳の裏を軽く撫でる。先端の突起を布の上に浮かび上がらせている豊かな乳房がぷるんと弾み、下腹部の前で重ねられている指先がもどかしげに宙を掻く。
「俺の舌では物足りなかったか?」
 至近距離で問いかける言葉に少女の唇を湿らせる息が男の口も撫でる。唇のかすかな震えの空気の揺らぎすら伝わってくる空間で息が混ざり、甘く温い空気が男の肺を浸す。言葉にならない羞恥と困惑の音色の吐息を繰り返す少女の早鐘を打つ鼓動が伝わる中、ゆっくりと、おずおずと唇がちいさく開かれた。
 ほんのわずかに差し出された舌を男の舌が迎え、くちゅりと濡れた音が沸き立つ。
 はあっと零れる熱く切なげな吐息に撫でられながら男の舌は少女の舌先で円を描き、先端の裏側から先へと筆でくすぐる様に払い、唾液の糸を短く延ばす。
 音が篭もりやすいユニットバスの中であってもかすかな忍ぶ様な甘い吐息は身体の火照りを持て余すのかひくひくと震える肢体の衣擦れの音と混ざり、蒸れた熱の様にそれ以外は無音の空間を満たす。あれだけ前日に舌を弄ばれてもまだ自ら愉しむ事を選べない拙い舌が、男の舌と唇との接触から逃れようとしているのか懸命に差し出され、そして伝う唾液を細い喉が従順に嚥下する。常の呼吸とは明らかに異なる甘く乱れた啜り泣きと鳴き声が零れ始めたのを感じた男はゆっくりと顔を上げた。
「……」
 潤みきった瞳と無防備な表情で見上げてくる少女をそのままに、男は洗面台の蛇口レバーを上げて延長式のシャワーノズルから勢いよく湯を迸らせる。そのままシャンプーにまみれた頭へと軽く当て、そして泡を洗い流し始めた。
 最初はくったりと力無く横たわっていた少女に徐々に気恥ずかしげな力が入り、男に伝わらない様に縮こまろうとするのが注視せずとも伝わってくるのがどこか可笑しい。――そしてどこか居心地悪そうに揺れる身体に、男は口の端を歪ませる。
 リンスやトリートメント等といったものは流石に手持ちになく、丁寧に長い髪を洗い流した後、医師はそれをバスタオルにくるみ少女へと渡す。
「ありがとうございます」
 湯中りか全身を桜色に上気させた少女が気恥ずかしげに、だが真面目に一礼した。
「万年筆の礼だ。気にするな…それよりもどうだ?」
「はい……?」
「先刻は問題がなかったそうだが、その症状は癒るものではない」
「え」
 唐突な言葉の意味が判らなかったのかぼんやりしていた少女の顔が怯えたものに変わっていくのも待たず、男は少女の身体を軽く抱き上げた上で丸椅子に腰を下ろす。男の膝の上に座る体勢に赤面し身を縮こまらせようとする少女を横抱きにかかえる男の手が細いウエストと両腿を捉えた。
「他の医者や看護師やましてや親に言わず俺に訊いたのは正解だ」
「……。不治の病、なのですか?」
 緊張した少女の口調に大笑いをしそうになり男はわずかに顔を歪める。
「まだ判らないのか」
 ウエストに回していた手を上へと動かし、男はゆっくりとだがはっきりと少女の乳房を寝衣の上から揉む。洋書の童話の妖精画を思わせる華奢な簡単に手折られてしまいそうな肢体に似つかわしくない乳房は、男の大きく開いた手でも余る豊かなものでありながら若い弾力で指の力を迎えうち、そして上質な布の下に隠された乳首は小粒ながらに淫らがましく存在を主張していた。
 大きく身体を震えさせ男を近距離から見た少女に、男は口の端を吊り上げる。
「性的な反応だ。発情して濡れる、ごく当たり前の反応だ」
「ゃ……」
「尤も強姦などで膣の防衛機能で感じなくても濡れる事はあるが…俺はお前を貫いてはいない」
 頬を真っ赤に染めて俯こうとする少女の身体は、男の手が乳房を撫で回し柔やわと捏ね回すたびにびくびくと膝の上で弾む。濡れた漆黒の髪を包んだバスタオルを胸と膝の間で抱えた華奢な手が、男の陵辱を制止しようと一瞬動きかけては躊躇いによるものか恐怖によるものか止まってしまう。
「こういった悪戯を前から悦んでいるのか?」
「え……」
「男に弄ばれて身体を疼かせていたのか?それとも実は咥えこんで愉しむ事など勉強済みで処女のフリをしていたのか?」
「そ……んな…、そんなこと……していませ……ん……っ」
 乳房を片手で揉みしだかれているだけでも十分に身体が蕩けてしまうのか悩ましくも初々しい嗚咽を漏らしながら首を振る少女に、男は膝の上の華奢な身体をくるりと回転させ、正面の洗面台の鏡へと向けさせる。
「『少し粘度のある透明な液体』か」少女が婉曲に表現した液体の表現を口にした男に、鏡の中の少女が恥ずかしげに俯く。「愛液はそんなものではない」
「え……?」
「少し程度の粘度と言うのがどれだけのものか、愛液でないと思いたいなら教えてやろう」
「――ゃ……っ」
 両腿を跨がせる体勢から不意にぐいと膝を開いた男に、脚が大きく開かれた少女の唇から流石に拒絶の声が漏れ、バスタオルを抱えていた両手が辱めを避けようと男の手を制止しようとする。濡れた漆黒の髪が幾筋もの束になって宙を舞い、冷めた雫が少女の寝衣と男のシャツを濡らす中、利き腕を封じられた状態の少女の抵抗はほぼ意味を成さずに男の両手は寝衣をするするとたくしあげ、小声で哀願しつつ藻掻く少女の下着がユニットバスの照明に曝される。寝衣と同じく上品で清楚ではあるもののレースをあしらった下着は大人びた繊細な作りであり、髪に似た柔毛をほんのりと透かせており、そして華奢な腿の間の空間に篭もっていた蒸れた空気はシャンプーと違う甘い女の匂いを漂わせた。
「いや……っ…せんせい……許してください……」
 繰り返し首を振り懸命に身体を縮こまらせようとする少女の下着の端に指を掛け、男は無造作に布を丘の一方へと寄せた。
 下腹部の柔毛は思いの外濃くはあるが性器の周囲にまでは生えておらず、寄せた布の上隅を飾る程度にしか男の視界を遮らない。丘自体も少女の肌色そのままで女児のそれを連想させるが、華奢な肉付きと比べて柔らかな膨らみは男の抽挿を十分に受け止めるられるであろう量感があり、そして初々しい光景の中央の谷間は艶めかしくわずかに綻びかけていた。
 車椅子での使用も考慮されている洗面台の大きな鏡は水平でなく大きく前へと傾いており低い位置からでもよく見える様に造られている。その中央で、異性の腿に跨がされた少女の谷間に男の指がゆっくりと埋もれていく。
 一段と大きく身体を震わせて少女が激しく首を振る中、男の指は熱い粘膜をじわじわと掻き分ける。谷間からはみ出さない小さな襞は既に愛液にまみれていたが、その粘度は確かに愛液らしいものではなくまださらさらとした唾液程度のものに過ぎない。快楽を覚えておれば行為の最初からでもねっとりと重く絡みつくものになる事を考えれば、少女はまだ快楽を覚え立てである事に間違いはないだろう。ゆっくりと指が谷間を上下するだけの動きに、ぶるぶると痙攣する様に首を振る少女に、男は無防備な項に唇を這わせる。
 全身を愛撫したい誘惑を無視し、男は中指一本で繰り返し谷間を上下に撫で続けながら少女の緊張が解けるのを待つ間に、ユニットバスにぴちゃりと濡れた音が鳴り、そして定期的にリズミカルに止めどなく鳴り続ける様に変わっていく。儚む様な嗚咽に戸惑いが混ざり、そして戸惑いの息が羞恥の潤みを帯びた頃、不意に小さな機械音が壁から鳴った。
《まもなく消灯時間です》
 消灯十分前のアナウンスと判り、音に緊張していた少女の全身から力が抜ける。
「終わりにしておくか」
 そのつもりなどない男の声に、少女の瞳が頼りなく揺れ、そして俯く。
「はい……」
 否定とも肯定ともとれない声音に男の指が谷間の上隅の突起の近くを軽く掻いた瞬間、華奢な肢体が激しく跳ね上がる。まだ直接触れてみる前からの過敏な反応に、焦らす様に突起の外周で弧を描く男の指にびくびくと若鮎の様に跳ねる少女の唇からかき消されそうな細い鳴き声が漏れた。男の腿に強引に開かれている華奢な膝を無意識にか閉じようとする力が嗜虐心を心地良く煽り立て、指の動きを更に執拗なものへと変えていく。
 シャワーノズルから時折零れる水滴がカランで弾ける音と少女の乱れた吐息が篭もるユニットバスの中で、もう一種類の水音が男の指先の感触と共に軽い滑りを帯び始め、少女の華奢な肢体が切なげにくねりかけては縮こまる。熱い粘膜の谷間は男の指をくにゅくにゅと受け止め、本能的な牝肉の蠢きと緩い潤滑液が陵辱の矛先を下隅の蜜壷へと処女にあるまじき淫らさで誘い込もうとする中、男は優しく上端の突起に触れた。
「ぁ……!?」
 がくんと大きく身体を跳ね上がらせた少女の唇から今迄と異なる悲鳴に似た短い声が零れる。
 蜜壷側から触れた突起は痛々しい程小さく、薄い包皮が突起の半分を被っているまだまだ子供の様な身体に、男の背筋がぞくりとざわめく。
 煮る前の小豆程の小さな突起に当てたままの指をゆっくりと数ミリだけ動かした男の腿の上で、恥ずべきものと感じたのか少女が華奢な指で口を押さえて縮こまろうとする。
「自慰くらいはするのだろう?」
 男の言葉に少女は小さく、だが何度も激しく首を振った。鏡に映る顔は俯いている為に前髪で目元は隠れているが羞恥に赤く染まり、目の前の肩は小刻みに震えている。
「洗う時しか…触ってはいけない場所なのです……」
 目の前で話しているにも関わらず男の耳に届くか届かないかの微かな声は、無遠慮に触れる男への咎めよりも中断を希望する哀願の色の方が濃かったが、この状況でそれは更なる行為への呼び水にしかならないと少女には判らないらしい。
「やれやれ…愛液も自慰もよく知らないとはどこで恥知らずな事を言い出すか判らない小娘だな」
「……。申し訳ありま……ひ……ぁ!」
 揶揄われていると判らないのか泣き出しそうな声で謝る少女に、男は中指で突起を軽く撫でる。びくびくと跳ねる華奢な肢体に熱が篭もり、脇に寄せている下着が湿り気を帯びつつあるのが男の指に伝わって来た。びくんと身体を震わせた少女の寝衣は濡れた髪で既に重く湿り、このまま着替えずに就寝すれば間違いなく風邪をひくだろう。男のネクタイとシャツも肩から胸にかけて同じくして湿り、だが着替えはロッカーまで戻らねばならない。
「誰にでも簡単に身体を許すのか?」
「……。先生は…御医者様です……」
「無難な教材扱いか?」
 否定も肯定もせず俯いたままの少女に、男はネクタイを緩めた。ちいさく身体を震わせた少女の濡れた漆黒の髪とのコントラストが強い薄い桜色に上気した項に守崎は唇を這わせ、そしてゆっくりと歯を当てて力を加えていく。爪や歯で簡単に傷がつきそうな繊細で薄い柔肌はしっとりと潤っていたが、夕食の前後にシャワーでも浴びたのか汗などの味はしない。女の身体を楽しむ時は別なのだが入院患者特有の汚れは職業的に慣れてはいる、だがこの少女が入院中にも関わらず清潔に保とうとするのは好ましく思えた。
「いつシャワーを浴びた?」
「夕食前に」
「ギプスをつけたままでか、自重しない娘だな」
「すみ……ぁっ……すみま……せ……んっ」
 変わらずクリトリスをささやかに弄ばれつつも他愛もない注意にしゅんと萎れる少女に、男の口元が自然と綻ぶ。今迄の経験上として行為の最中でも会話を交わす事はよくあるが、さして余裕がない状況で男の言葉に応えようとする健気さと生真面目さは手の中の怯えた非力な小動物を連想させる程落ち着きがなく、残酷な支配欲を掻き立てる。
「――下着が汚れるがいいのか?」
「ぇ……? そ……それは……こまります……」
 悪戯の中断を意味しているとでも考えたのか若干の安堵と戸惑いの言葉を零す少女に、男の指が突起をくにゅりと捏ね回す。
 びくんと大きく跳ね上がる華奢な肢体と堪え切れず溢れるか細い悲鳴に、男は細い腰に腕を回して絡め取る。最初に出会った時にも抱き上げている身体だが、今迄抱いてきた女の身体の中でも初めての細くて頼りないウエストが背筋がぞくりとする。思春期特有の肉付きが薄く熟れた女の脂肪もなく鍛えている身体でもない…だが病的な細さでもなく、頼りないとしか言い様のない華奢さと抱き寄せる力加減を誤ったかと戸惑う程の身体の軽さ。いつの間にか猛っている下腹部に密着する尻肉がクリトリスの刺激に翻弄されて淫らにぷるぷると震え、細やかに男のモノを挟み込み刺激する。
 追い詰められた響きの篭もった甘い微かな鳴き声に、男は執拗に小さな突起を捏ね回し、ウエストに回していた手を上へと這い昇らせる。正面の大きな鏡の中でびくりと硬直した少女が鏡の中の男を哀願の瞳で見つめ小さく首を振ったが、突起を捏ねる指が突起を二・三周する間にそれは慣れぬ刺激と羞恥に翻弄される初々しく危うい蕩けた鳴き顔に変わってしまう。
 柔らかな寝衣の胸元を突き上げている膨らみに、男の指が裾野から触れた。
 ゆったりと包む寝衣の上からではウエストや腰の細さは手足の細さからしか推測出来ないのは、少女の胸が他と比べ豊かに張り出して寝衣のシルエットを判らなくさせている為だった。他の頼りない印象を打ち消すには十分な乳房は男の手が大きく指を開いて包み込んでもまだ余る程大きく、そして柔らかさと熟れる前の弾力に富んでおり、掌をくすぐる様に可憐なしこりが存在を主張していた。
「今更保健体育の授業のみと言う年齢でもあるまい。教えてやる見返りに俺も多少は楽しませて貰うぞ」
 授業料ならばキスでもセックスでも大差ないとは思いながら男はクリトリスを細か捏ね回し、少女の乳房をゆっくりと揉みしだく。強く掴めばまだ痛みしか判らないであろう未開発の乳房を触れるか触れないかの力で柔らかく撫で、ゆっくりと揺さぶると男の手の上で緩やかに弾み卑猥な重みで沈み込む。少女にとっては男に揉まれる事が恥ずかしくてならないのか、鳴きながら何度も首を振るのはクリトリスを弄られている為かもしれない。
 洗ったばかりの長い髪は既に冷め始め幾筋もの束に割れ、柔らかな生成の寝衣の前で漆黒の蛇か縄の様にまとわり付いていた。豊かな髪を濡らす水分は多く胸元から腰への布は重く湿り、晩秋にあってもギプスの邪魔にならない様に選んだであろう半袖の寝衣の薄くしなやかな素材を身体に貼り付かせる。入院患者によくあるブラジャーを着けていない状態は乳房の頂の色を浮かび上がらせていた。布越しに見える色は実際より濃く見えるものだが少女の乳首の色はそれでも艶やかな朱鷺色に過ぎず、悩ましく震える小振りな唇の色に近かった。
「瑞穂。舌を出せ」
 乳房を撫でている手を離し男は少女の上半身を捻らせる。身長差と身体の位置もあってされるがままに男へとくったりとしなだれる少女の瞳は困惑と羞恥と怯えに彩られていたが、細い顎をくいと持ち上げられると濡れた舌がおずおずと差し出される。
「事故で唇を舐められたくなければ動くな」
 強い刺激を与えて少女が震えればそれだけで唇が重なりそうな状態で男は至近距離にある少女の舌を舐りあげた。甘く溶けた声が漏れると同時に、指を当てたままの粘膜の谷間がひくりと蠢き舌先と下腹部で淫蕩な水音が湧く。
 身体を捻らせたまま乳房に添えた指でそっと乳首を撫でる男に、少女の瞳に溜まっていた涙が頬へと伝った。わずかに位置を変えて流し込ませる男の唾液を無防備に嚥下させるたびに少女の鳴き声は蕩け、逆にくちゅくちゅと弄る舌に絡まる唾液は甘く男の口内に届く。いっそ唇を奪い淫らに激しく唇と口内を貪りたい衝動にスラックスの中で性器がぎちぎちと猛り、腕の中の獲物を欲して窮屈さを訴える。
 クリトリスへの刺激は強過ぎるのか時折華奢な身体をぶるぶると震わせる少女に、男は指を谷間の下端へと滑らせてぬるつく窪みを執拗に浅く掻き続けると少女が戸惑った様な鳴き声を漏らした。男を貪る為の卑猥な膣口を弄られる事への抵抗と羞恥かもしれないが、おずおずと動く舌は男に逆らってはいない。
 貼り付いた布ごと可憐な乳首を掻く男の指に、不意に掠れた甲高い鳴き声と同時に少女の舌が男の舌を強く舐め上げる形で顔ごと跳ね上がる。
「ぁ……、ぁ…ぁぁあ……もうしわけありません……」
 とろんとした悩ましい表情に戸惑いの色を浮かばせ、少女が口元に指を添えて小声で謝罪した。
「唇が当たらずによかったな」男の言葉に一瞬少女の瞳が揺れる。「悪い事をしたと言うのならば罰を与える必要があるか?」
「……。ぉ……お望み……でしたら……」
 小賢しい計算ではなく純粋に申し訳無さげに身を縮こまらせる少女に男は口の端を歪め、捻らせていた上半身を正面の鏡へと向けさせた。
「先刻から膝を閉じようとする脚の動きが強くて堪らない。――この手摺りに膝を乗せろ」
 男の指す手摺りは広いカランの左右に取り付けられた車椅子のままでもその間に入れる幅広いものだった。男の腿を跨ぐだけでも羞恥に戸惑う少女にとっては恥知らずで異常な行為としか思えないであろう、とろんとしていた顔がわずかな間の後真っ赤に染まり首が細かに左右に振りたくられる。
「ぁ……あの…罪滅ぼしでしたら…わた……私……」
「脚を乗せろ」
 手摺りの性質上先刻頭を乗せていたカランよりも高く鏡に近い手摺りに膝を乗せれば今よりも下腹部を晒す形になる事を避けたがる少女が、男の声にびくりと震えた。
「まさか俺にレイプ犯の様に無理強いをしろと言うのか?」
「ぃぇ……ぃいえ……」
 口元に指を添えたまま小刻みに首を振る一方で、男は少女の反応に気付き目を細める。
 男の物に押し当てさせられている尻肉が震え、指を添えられたままの膣口からとぷんと温かな愛液が零れていく。言葉と意識では羞恥に嘆きつつ、本能の女の部分は淫らに男の責めを悦んでしまっているのに本人が気付いていない事実が男を更に煽る。
「ならば同意の上として俺に乗せろと? ――いやらしい小娘め」
「ぁ……ぁああああ……っ、そんな……ぃや……おゆるしくださ……ぃっ……」
 膣口からも指を離し細い腿の内側に手を回した男の手に微かな抵抗の力が伝わってきた。それと同時に少女の尻肉がひくひくと震え男の物を細かく扱き立て、上擦った甘い哀願が耳をくすぐる。
 ぐいと力を加えてもまだ儚い抵抗は消えず、だが快楽に飲まれていた肢体は無力に男の望む形に操られていた。元から一角をたくし上げられていた長い寝衣の前半分が完全にはだけ、鏡の中で少女の腰から下が完全に露出する。洗面台用の白色灯でなく柔らかな浴室用照明に慣れた男の目でもぞくりとする程淡い桃色に上気した柔肌には傷一つなく、正座をする習慣がある日本人特有の膝間接の張り出しも目立たない…逆に右腕のギプスの下はどうなっているかを考えると苛立たしさを覚えてしまう。
「ああ、指を離したから下着がこの様だ」
 子供の様な色合いの下腹部の丘の片方に寄せていた純白の下着は重く濡れて中途半端に戻りかけた為に綻んだ谷間に食い込んでいた。
 下着の食い込みの上に指を差し入れ、守崎はぐいと布を更に谷間へと引き絞る。繊細なレースに縁取られた布が粘膜と薄く小さな襞を擦り、男の指の動きで上下に動きくちゅくちゅと音を立て、柔らかな粘膜に布が食い込み、襞が透明な液体の滑りの中で捻れ、白い内腿が小刻みに痙攣した。
「下着がこれ以上汚れるのは避けたいか?」
「はい……」今にも精神の許容限界を越えて泣き出してしまいそうな少女が、華奢な腰骨の辺りから下着の内側へ親指を差し入れた男にびくりと身を震わせる。「ゃ……それだけは……ゆるしてくださ…いっ」
「俺は万年筆の礼とお前の希望に添いたいだけだ」
 万年筆という単語に少女が鏡の中の男を見、そしてうなだれる。
 何故中庭で少女がああも遠回しでおかしな真似をしたのか男には理解しかねるが、弱味を掴めてしまったのは確実らしい。そのまま犯しても泣き寝入りさせられそうな痛々しい沈黙は不思議と男の悪戯心に中途半端なブレーキをかけさせる。
「怖がるな。セックスはしない」
 ゆっくりと残りの指で柔らかな尻肉を持ち上げ、片方ずつ少しずつ下着を剥いていく男に、少女の身体がびくびくと震え浅く乱れた上擦った鳴き声が唇から零れた。小振りな尻肉から薄布を引き下ろした後、そのまま膝を高く上げさせる体勢で更に剥いでいく男の目に鏡の中の少女の恥ずべき場所が映る。
 クリトリスの辺りまでは密集している柔毛はそこより下には一切生えておらず、膝を合わせた状態に綻びきっている粘膜の谷間は閉ざされかけている…だがとろけきった愛液が谷間と襞の間に溜まり、初々しい丘のその内に秘めていた淫らな肉を滑らせ垣間見せていた。その下の赤ん坊の様な窄まりまで露わな霰もない姿である。
 片方だけ脚を更に操り、下着を片側だけ抜き取らせて男は少女の膝を手摺りへと戻す。啜り泣きを零す少女の左手が露出した下腹部の前に延ばされ鏡に映るそれを隠そうとする間に、男は少女の腰を己の腰へと当てさせた。それと判っていれば即座に判るであろう猛りきった分身に、たかが薄布一枚を剥ぎ取っただけに過ぎない尻肉が密着する。いや、ゆったりとした寝衣を引き寄せた際に巻き込んだ面積は減り、柔らかな布一枚と後は男の服だけしか隔てていない状態に変わっていた。
 隠す為に触れるのが恥ずかしいのか密着はしていない少女の指と下腹部の間に滑り込ませた男の指に滑らかな肌とは異なるふわふわと柔らかな毛の感触が当たる。癖のない漆黒の髪と同じで量は豊富だが毛質はやはりそれ相応にわずかな癖がついていたが細くて柔らかだった。びくんと身を震わせて縮こまる少女をもう一方の腕で抱き留めながら、男は寝衣の上から豊かな乳房に指を滑らせる。
「ぁ……あっ、せんせ……あっ!」
 恥ずかしさの余りにか背後の男に振り向こうとする少女の華奢な身体を男は強く抱き締め、項に唇を当て強く吸った。唐突に込められた力に戸惑っているのか凍り付く少女の柔毛を掻き分け、男の指が突起の薄い包皮に辿り着き薬指の腹でくいと剥いて中指で触れる。
 少女の唇から甲高い悲鳴が溢れかけ、慌てて華奢な左手でそれを塞ぐのに任せて男は初々しい突起を捏ね回す。小豆程のクリトリスは既に愛液にまみれ指から逃れるかの様にくにゅくにゅと滑り男の指を翻弄するが、それ以上に少女を取り乱させる。懸命に声を殺す少女の肢体が壊れた操り人形の様に落ち着くなく跳ね、大きく痙攣した。
「どうした?瑞穂」
 男の問いかけに大粒の涙をこぼしながら少女が口を開こうとするが、突起を捏ね回され続ける刺激に反射的に甘い声を迸らせてしまい上気している顔を更に赤くさせる。クリトリスへの直接の刺激が強過ぎるのか、一度堪えきれなかった声を抑える事が出来なくなったのか何度も首を振りたくる少女の口を男は片手で塞ぐ。掌に当たる甘い悲鳴を心地よく聞きながら更に緩急をつけクリトリスを捏ね回し責め立てる男に少女の身体がびくんびくんと狂おしく激しく跳ね、腕の中の体温が一気に上がり上気する肌が汗を滲ませる。
 内腿がぴくぴくと痙攣するのを感じ、指の動きを止めた男に少女が力無く崩れかけた。
「どうした?」
 乱れた呼吸を繰り返す唇からそっと離す手は唾液と汗と涙で湿っており、目を細める男の腰を小刻みな痙攣を繰り返す尻肉で卑猥に擦りながら少女が羞恥と切なさと快楽で蕩けた鳴き顔で見つめ、そして視線を逸らす。
「――どうしたのか、教えるんだ」
 男の声にぴくりと少女の肩が震え、乱れたままの呼吸を何度も繰り返した後、唇を動かすものの言葉は続かない。
「また……おかしなことですと…先生に……」
「俺に?」
「き……、呆れられてしまいます……」何かを言い直した少女の瞳から涙が零れる。「もう、許してください……こわい……」
 異性だけでなく怖いと言われる事が一度ならずの男は、少女の言葉に少し息を吐く。注射を刺すワケでもなしに医者と言うだけで無条件に泣き出す子供も少なくない。そして情事の最中に責めに怯えられる事は多い。前者はともあれ後者は御機嫌を取る必要を感じないのだが…この少女相手の場合はその勝手がどこか狂う。当然少女の御機嫌を取ろうなどとは微塵も感じないのだが、何かが鈍り、そして何かが酷く猛る。
「俺が怖いか」
 小さく呟いた言葉に、鏡の中で少女がしばし呆けた後に首を振った。
「ぁ……ぃぇ…違います! 怖いのは……違います、あの…あの……体調が……おかしいだけ、なので……」
「どこがおかしいのか説明しろ」
 言い掛けて口篭もる少女に入院患者相手の様態を警戒した医者に、少女が顔を真っ赤に染めて俯いた。
「――身体が……その、あの…無重力みたいで、くるくる…地面が回るみたいで、爪先までおかしな感じがして、ぁああ……いえ寒気や悪寒ではなくて、でも、何かに掴まらないとバラバラになりそうな感じが、します」
「……。腕や頭に痛みは?」
「そう言えば…腕の痛みが鈍っていると言うか…忘れていました」
 不思議そうに首を傾げた少女に男は小さく笑いを漏らす。
「確かに呆れる」
 泣き出しそうになる鏡の中の少女が、男の指の動きにびくりと身体を震わせる。くちゃりと淫らな水音が鳴り男に密着した華奢な熱い身体が腰を中心に波打ち切なげな声が甘く漏れる。
 今度は少女自身が声を抑えようとしているのをいい事に、クリトリスを親指でやや強く愛撫する一方で中指で同時に膣口の外周を撫で回す男の指に拙いながらにひくひくと震える膣の蠢きが伝わってきた。
「怖いのはこの感覚か?」
 鏡の中の少女の顔は今にも不安で泣き出しそうでありながら切なく蕩けたものであり、びくびくと身体を震わせながら小さく頷いてくる。
「――怖がらなくていい。暫くは俺に任せていろ」
「……。はい……」
 不安げに同意する少女の胸を柔らかく指先で撫で上げる男に、少女は頬を染めて俯いた。

 男のモノを擦り立てる可憐な尻肉の動きの心地よさが愛撫をより執拗に淫らに焦らすものへと変えていく。時折クリトリスへの刺激を止め膣口を撫でるだけにして休ませる間に、乱れた呼吸を整えようとする少女が、乳房への愛撫にも未熟ながらに反応していると男は気付く。まだ違和感とこそばゆさの間といった所なのか、戸惑った様な羞恥の表情にじわりと甘く切なげなものが混ざり尻肉が微妙に震える。まだ男のモノに気付く余裕はないらしい。
 クリトリスに比べ即効性の刺激の少ない膣口の外周を緩やかに撫で回しながら乳房をやわやわと揉む男に、少女からの制止の言葉はなかった。ただ戸惑いと哀願の瞳で見つめ、そして快楽か恥ずかしさかで逸らされる。少女の鳴き声と言葉にならない抑えた甘い囀りと衣擦れだけだった。――もう一種類の音を除けば。
 くちゅくちゅと粘度が増した水音が篭もる。
 緩い油程度だった愛液は男の指先に確かな粘り気を感じさせ、膣口からたっぷりと溢れていた。下腹部の粘膜の谷間だけでなく、割り開かれた丘や膣口のその下の窄まりや男の他の指もぐっしょりと卑猥に滑らせ、薄めだが女の甘い性臭がユニットバスに漂っている。清楚で可憐な顔立ちに似合わず愛液の量は多いらしい。
 何度もクリトリスへの強い刺激を控える間に、膣口辺りの粘膜がくにゅくにゅと男の指を膣内へと招き寄せる淫らな蠢きを覚え始め、そして鳴き声の切なさが増していく。まだ男に初めて貫かれる痛みも知らない少女の、涙に潤む瞳がまた男に物言いたげに注がれる。クリトリスへの刺激が収まる頃から注がれる視線の意味する所を無視していくと、やがてもどかしげに諦めかけた緩い吐息が零れかけ、それを見計らって男の指が待ち侘びている突起を弄ぶ。
 クリトリスから指が離れている間は羞恥に染まっている顔が追い詰められ蕩けたものに変わる。鏡の中の姿は背後から貫かれていないのが不思議な程に無防備に男に身体を委ねきっており、いつもならばもう挿入には十分過ぎる程に相手は甘く溶けているのにも関わらず、守崎は次へと進まなかった。
 何度もなんども少女を軽い絶頂に登り詰めかけさせては執拗に焦らし、乳首とクリトリスを同時に捏ねて刺激を同期させる頃には愛液の糸はしっかりと垂れる程に変わっていく。
 譫言の様に自分を呼ぶ少女の甘い声に、男は漸く口を開いた。
「地面が回って怖いか?」
 こくんと素直に頷く少女に男はゆっくりと中指の先を膣口に埋めていく。
 戸惑いと甘さが混ざり合った声が零れるが、熱く潤みきった狭い入口のくねりの舌に似たざらつきを濃密な愛液が滑らせ、十分過ぎる愛撫に綻んだ膣口は窮屈ながらにぬろぬろと男の中指を受け入れ、くねりを越えた指は膣口のこそげ落とす様な窮屈な圧迫感をでなくぎゅっと締め付けてくる熱い肉壁に埋もれていく。
「ぁ……ぁああ……っ、せん……せ……ぃ……っ」
 もしかすると生理用品などを挿入させた事もなかったのか性器で貫かれたでもないのに全身を強張らせる少女に、男は指の半ばまで埋もれさせたまま動きを止めた。
「怖くてやめて欲しいか?それとも続けて欲しいか?」
 男の問いに、少女の唇が震えた。

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改訂版1404060335

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