『真夏日とセーラー服(仮)』熱帯夜2

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《言う事聞かなかった顔も撮影するよ》
 インカムからの命令に全身を強張らせる香澄の肩が小刻みな引き攣った呼吸に上下し、乳首を挟むニップルリングの鈴がちりちりと音をたてる。
 浴室内での指示で自ら装着させられたニップルリングは正確には輪になっておらず、輪の両端にある球状の瘤の隙間に対象を挟み込む形状になっていた。柔らかに撓って対象を挟むだけでは保持力に問題があるのか華奢な輪の素材は予想以上に硬く、輪を指先で左右に引いても女の力では微動だにせず逆に対象を輪の隙間に挟み込むのがやっとである。瘤の間の最初からある隙間は所謂ノンホールピアスよりもわずかに狭く、耳朶に挟んでも落ちないだろう。
 耳朶は乳首よりも薄い為、当然乳首からは簡単には落ちず、バスローブを着込んで擦れようが乳房が弾もうがしっかりと乳首を捕らえ、外れる事はなかった。そして輪に連なる鈴の音は繊細で美しかったが非常に鳴り易く、香澄が少し動くたびに存在を主張していた。物静かな所作の少女だから鈴の音も耳障りにならずに済んでいたが、普通かそれ以上に動きが荒い人間が装着しようものならば四六時中大きく鈴は鳴り響いていただろう。
 自分を落ち着かせようと繰り返す肺まで届かない上辺ばかりの引き攣った深呼吸の間も、香澄の目の前の液晶画面の文字列は自室の生放送で乳房を晒す少女を揶揄う書き込みに溢れ、次の動きを急かしていた。
 香澄のインカムから指示が届く。
 「嫌」と言いかけて香澄は言葉を危うく飲み込んだ。鈴の音が視聴者に届いていると言う事は自分が声をあげれば同じ様に届いてしまうのだろう。顔が映されなくても声が入ってしまえば特定はし易くなってしまうと気付き、くっと堪えた香澄はゆっくりと手を動かした。
 そっと乳房に触れた瞬間、ちりんと鈴が鳴った。
 自慰に慣れていなくとも、昼間の陵辱で嫌と言う程愛撫というものを教えこまれてしまった身体は、男達が指示する内容も男達が狙っている効果も嫌でも判ってしまうが、香澄に逆らえる筈がない。
 じわりと華奢な指が形のよい乳房を裾野から揉みあげ捏ね回す少女の顎が跳ねあがり白い喉が露になり、そしてバスローブが更にはだける。肘まで落ちたバスローブに、その合わせは細いウエストより下まで乱れ、かろうじて臍と下腹部の中間で溜まった。
 小さなモーター音をたててカメラのレンズが乳房を揉みしだく少女の首筋から下腹部までを往復し、無機質なレンズが白熱灯の中ズームを繰り返す。画面にニップルリングに挟まれた乳首やびくびくと脈打つ薄い腹部が執拗に映される。最初は柔やわと乳房を揉みしだいていた手に力が篭り、そしてニップルリングで挟まれた乳首の先端を自ら指先で捏ね回す動きは徐々に自ら快楽を探るためのものへと変わっていく。
 香澄の吐息が乱れ、仰のきつつ画面を見つめる瞳は涙に濡れながらとろんとしたものになっていた。男達の手を穢らわしい忌まわしいと思っているにも関らず、自らそれを真似させられている間にじわじわと物足りなさが全身に広がり、香澄の手の動きは大胆になる。昼間の香澄の恥辱を知っている者ならばこれが嫌々だと事情が判るのだが、画面の中で繰り広げられる行為は自慰慣れしているとしか見えないものだった。乱れる呼吸は鈴の音と共にマイクに拾われ、甘く上擦った吐息はあと少しで声に変わってしまうだろう。
 命令する男が時折読み上げる数々の文字列が、ぼんやりと涙で視界が滲む香澄の耳に届き容赦なく胸に刺さる。大勢に見られているのだと意識した瞬間から、羞恥と共に香澄の身体の芯を焙る被虐の疼きは行為がエスカレートすればするほど増していき、びくびくと震える腰のその奥から溢れる愛液のにおいが徐々に室内に篭っていく。――香澄は、動画画面のすぐ下で更新されていくオークションと名前が付いている数値に気付いていなかった。
《椅子の腕に膝を乗せようね。脚を開く形で》
 意識しないままカメラに見せつける様に乳首を捏ね回し鈴を鳴らせていた香澄は男の言葉にとろんとした瞳を揺らす。出来ませんと唇を動かしてもそれを言葉にすればインターネットに音声が流れてしまう上に、命令に従わなければカメラが容赦なく香澄の顔を映すだろう。
 アンティークの椅子の肘置きは大きく香澄が脚を乗せても苦しくはないが、両脚を別々に乗せるとなれば男に指示されて机の手前に置いたカメラに向かって脚を開く体勢になってしまう。カメラに向かって脚を開いても腰はバスローブで隠れるが、昼間の執拗な撮影を考えればそれだけで済む筈がないのは判り切っており、だが逆らうのも無視をするのも香澄には出来ないのは確かだった。
 行儀の悪い行為への躊躇いにわずかに顔をしかめながら、香澄は乳房を揉みしだきながら腰をよじらせ脚を左右の肘置きに乗せていく。左右に腰を動かすたびにぬるつく膣内がくねり愛液まみれの谷間で襞が滑る感覚は連絡階段のもどかしさを思い出させ、妖しい感覚が腰から爪先まで伝わり、肘置きに乗せたしなやかな白い足の指先がひくひくと震え乳房を撫でる華奢な手が震え時折強く指を食い込ませる。気を抜けば漏れてしまいそうな声を抑える少女にエスカレートを唆す様にちりちりと小刻みに鈴の音が響いていた。
《次はポケットの中のチューブの中身を乳首によく擦り込んで》
 旅行用歯磨き粉チューブくらいの小さなそれは特にラベルなどもついていない為、何なのかが判らず香澄は不安を覚えるが、少なくとも誰かが先に使用している様子はない。戸惑った表情のまま肩で呼吸する少女は掌にうずらの卵程度に中身を絞り出す。粘液と軟膏の中間程度の固さの淡い色のクリームは特ににおいはなく、少女は指先でそれを伸ばし、そしてニップルリングを避けて乳首にそれを塗った。
 はぁっと香澄の唇から甘く詰まった吐息が漏れる。
 ただ指で直接摘まむだけでないクリームを塗る感覚は身体をボディソープで洗う時のぬるつきとはどこか異なっていた。油分を含むクリームを乳首の先端へとじわりと伸ばし、ニップルリングの瘤を避けながら膨らんだ乳輪へ広げ正体不明のクリームを塗り込める間に室温のクリームが生温かくなっていく。
 手に取った分量を全て両方の乳首に塗り終え、チューブをバスローブのポケットに戻した香澄は、クリームを塗布した時の特有の違和感が徐々に変質していくのを感じ、自分の胸元に視線を落とす。湯上がりの火照りが抜ける前にまた汗ばみ始めている白い柔肌の先端で鴇色の乳輪がぷくりと膨れ、ニップルリングで挟まれ続けている乳首は男に指で引かれている時の様に尖り切っていた。かすかな振動でも鳴る鈴の音は止む事がなく、そして甘い疼きに震えるたびに心地よく可憐な音を響かせる。――男の命令に従い続けるのならば、香澄は男達に外される時以外はニップルリングを付け続けないといけない。それは親と同席する食事でも外出時でも科せられた恥辱の証だった。
「は……ぁ…っ」
 香澄の唇から吐息が漏れ、ちりんとはっきり鈴の音が鳴り響いた。
 クリームを塗り込んだ場所に堪らなく熱さとむず痒さが宿り、まるで男達に抓られたかの様に全身に鋭い疼きが全身を駆け抜ける。ニップルリングで挟まれ続け過敏になっている乳首が熱く脈打ち、酷い虫に刺された時に似た激しい痒みに思わず反射的にほんのわずかに少女の指は乳首を掻いていた。
「はぁ…ぅ!」
 指の腹で軽く一掻きした途端に一気に上半身に広がった痒みに、香澄の肢体は椅子の上で身悶えてしまう。りん!と鈴が鳴り、仰のく香澄の乳房がカメラの前で激しく上下に弾み、白い腿の上に乗るバスローブの裾がはだけていく。酷い痛痒感に乳首から指を離す事も出来ず、香澄の指は二度三度と乳首を掻き、堪え切れず摘まんで捏ね回す間に指や手に付いたクリームが乳房全体へ伸ばされていく事に少女は気付かない。
 あっあっあっと止めどなくこぼれる喘ぎを抑える事も出来ず、やがて香澄は華奢な手全体を使って荒々しく乳房を掴む様に揉みしだき始めてしまった。その動きは全身に伝わり、両脚を肘置きに乗せた為にはだけかけていたバスローブは徐々に左右に落ちていき、下腹部の辺りでようやく溜まっていた布は少しずつ脇へと滑っていく。
 通常の媚薬ならば数分も経てば効果が薄れるのだが含まれている成分が違うのか、何かにかぶれる様な痒みはいつまで経っても消える事なく擦れば擦るだけ掻きむしりたくなる衝動は増していた。指や手に付着したクリームによって乳房全体に広がった痒みに全身が激しく脈打ち、誰にも触れられていない膣口から愛液が溢れ腰の下のバスローブに緩い染みをつくる。
《おまんこ弄ってごらん》
 男の声にびくりと香澄の身体が強張った。
《クリトリス擦られるのもおまんこに指突っ込まれるのも大好きだろう? ――おっぱいよりもっと気持ちよくなれるよ》
 薦める様な口調ではあっても拒む事が許されない香澄にとっては命令に他ならない。
 膨らんだ乳輪の柔らかさと対照的に、指先で捏ね回す乳首は自分のものと思えない程硬くしこり、指の間でくにくにと揉むたびに全身にむず痒さと心地よさが駆け抜けていく。はぁっと熱い吐息を漏らす香澄の頭の中に男達の陵辱の記憶が蘇り、身体の疼きがまだ上限に達していない。
「ぁ……ぁん……」
 ぞくぞくと全身が震え、香澄の意識は下腹部に集中していく。乳房や乳首の責めも堪らなかったがもっと過敏な場所があるのだと執拗に教えこまれている…だが一人隠れての自慰ですら陵辱の後では惨めで躊躇われると言うのに、目の前のカメラでインターネットに中継されているのだ。乳房を露出しているだけで気が遠くなりそうな少女は男の命令に即座に従う事が出来ないまま、乳首を指で捏ね回し続けてしまう。
《香澄ちゃん? ――顔を映すよ?》
 それまで少し猫撫で声だった男の声音が低くなり素性の悪い男の絡みつく様な恫喝に香澄の全身がびくりと大きく震えた。
《言う事聞かないと駄目じゃないか…気持ちいいんだろう?それならもっと気持ちよくなれる指示はちゃんと聞かないとね》
 元の猫撫で声に戻りはしたものの、一度脅された恐怖は内気な少女を完全に搦め取ってしまい、白い身体はぎこちなく肩で浅い呼吸を繰り返す。動きを止めた香澄に、液晶画面では動画の終了かと継続を求める文字列が大量に流れていく。男は一時間だと香澄に言っていたが放送視聴者にもそう予告していたのだろうか、まだ終了時間には程遠いのだから継続を求められるのは当然かもしれない。見飽きたのならば視聴を終了するのかもしれないが、カウンターが減少する気配は欠片もなく増え続けていた。
《腰のバスローブを除けるんだ》
「――!」
 膝を肘置きに乗せ通常よりも浅く腰かけた体勢で布を左右に払えばカメラに女性器を晒す事になってしまう。何百もの視聴者に強制自慰を公開するのですら消えたい程恥ずかしいのを更に自ら性器を晒さなければいけない辱めに啜り泣く少女だったが、バスローブの奥で、男の命令を聞くたびにまだ異性に貫かれてはいない膣口はきゅっと収縮しては弛緩し、上下に波打ち愛液を溢れさせていく。
『顔だけは……だめ……』
 這い昇る妖しく淫らな感覚と脅された怯えに震える肢体に、ちりちりと鈴が小刻みに鳴る中、香澄は白い指を震わせながら腰へと下ろす。男の命令に従っている間は怖い思いをせずに済む、少女自身の露出放送の方が惨い行為だったがそれを意識するのを香澄は避けたのかもしれない。ぞくぞくと腰の奥が熱くなり、ひきつけを起こしている様な呼吸のたびに香澄の胸が揺れ、尖った乳首をキツく挟み揺れるニップルリングの錫がぷっくりと膨らんでいる可憐な鴇色の乳輪を弾くたびに男達の責めが反射的に香澄の脳裏を過る。挟まれた乳首の痛みは歯で噛まれる痛みを、乳輪の刺激は唇の摩擦や次に音をたててキツく吸われる恥ずかしさとこそばゆさを思い出させた。
 バスローブを摘まんだ香澄の瞳が絶望と快楽にぬめる。
 乳房全体に塗り広がってしまったクリームは触れていなくても喘ぎそうな程のむず痒さで翻弄し続け、香澄は両手を下したまま無意識に胸を左右に揺らし、鈴に弾かれる小さな刺激すら求めて身体をくねらせる。あっあっとかすかな声が漏れる中、香澄の指はわずかにバスローブを持ち上げてしまっていた。
 命令に逆らえないのならば何も考えない方が傷つかずに済むかもしれない。何も考えなければ男を苛立たせて顔を撮影されずに済むだろう。男に従えば、怖い思いをしないで済む…。言い訳の様に繰り返すがそれが間違いだと判っていても、香澄には従う以外の選択肢が浮かんでこなかった。

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20110612

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