『真夏日とセーラー服(仮)』朝曇り2

表TOP 裏TOP 裏NOV BBS / 朝曇り1<朝曇り2>朝曇り3

 徐々に近づいてくる足音から逃れなければならないと判っていても、香澄の全身は小刻みに震え続けるだけで一向に動いてはくれなかった。いや、非常扉の裏に隠れるだけで精一杯で、怯えきった少女にはこれ以上動く事は出来なかったかもしれない。嵐が過ぎ去るのをただひたすら待つ様に、浅く乱れた嗚咽まじりの呼吸を繰り返す香澄の耳に、かすかに鳴り続けている鈴の音が届いていた。
 同級生の男子に自分がその画像の主だと知られてしまった場合どうなるのだろう。自分を同級生のよしみで助けてくれるだろうか?もし善意で助けてくれるとしても今の会話の様子では気まずいものがあるに違いない。香澄自身、自分の赤裸々な姿を見てしまった男子にどう接していいのかは判らない。――絶対に知られたくはなかった。
 はぁっはぁっと浅い呼吸を繰り返す香澄は緊張のあまりに気を失いそうな感覚に襲われる一方…出かける前にシャワーを浴びたその下腹部はねっとりとした愛液が粘膜の谷間だけでなく丘全体までを濡らしている。ニップルリングに刺激されている身体は四六時中疼き続けていたが、男子達の会話を聞いた時からより一層熱く蕩けている事に香澄は気づいていない。呼吸をするたびにニップルリングが意思を持って締め付けてきている感覚は乳首とクリトリスの方が脈打ち昂ぶっているのだと、昨夜から何も挿入されずにいる膣が異物を待ちわびて妖しく蠢いているのだと、そしてシャンプーや石鹸の匂いに紛れながらも発情の淫臭が漂っていると自覚出来ない少女の目尻はほんのりと色づき、小振りな唇は悩ましく濡れていた。
「小早川さん。――忘れ物か何か?」
 不意にかけられた声に、香澄の全身が大きく跳ね上がり、はっきりと複数の鈴の音が鳴り響く。
「は、はい」
 反射的に返答しながら、香澄は顔だけ向けた先で長身の男子が普通の表情で自分を見下ろしている状況に凍り付いていた。
 内気さ故に男子生徒との縁が薄い香澄は同級生以外の男子の顔は殆ど覚えておらず、目の前の男子はシャツの学年章から同学年だとしか判らない。少なくとも同級生ではなく先刻の会話に参加していなかった…先刻の声の主は別の場所に向かったのだろうか。
「朝早くから御疲れ様」
 知的な笑顔に香澄の肩から力が抜けそうになる。先刻の会話が聞こえていなかったかが気になるが、聞こえていたとしてもサイトを見ていなかったのならば香澄と画像の主を結びつける事はないだろう。
「え、い、いいえ。お…おはようございます」
「おはよう。今日は昼は暑くなるそうだから気をつけて」
「ありがとうございます」
 有名私立であっても男子は香澄から見るとどこか騒がしく粗野な印象が否めないのだが、しかし目の前の男子は教師の様に落ち着いた口調で、不思議と初対面の緊張も少なく香澄は会釈する事が出来た。
 ちりん。
 会釈すると同時に鳴った複数の鈴に、香澄の身体がびくりと硬直する。わずかな間だけ解けていた緊張がより一層深刻な形で少女の身体を揺さぶり、とろりと愛液が伝う感触に内腿が妖しくざわめき膝が震えだしてしまう。気圧が変化した様な耳鳴りの中、震えの止まらない身体にあわせて小さく鳴り続ける鈴の音が香澄の頭の芯に響く。
「具合が悪いのなら医務室に案内するよ」
「あ…ありがとうございます……でも、もう帰りますので……」
「そう。気をつけて」
 涼しげな笑みを浮かべた後、男子生徒は昇降口とは反対方向へと歩きだし、そしていつの間にか下駄箱にいたであろう集団の話し声が遠ざかっているのを呆然としたまま香澄は聞いていた。
 やがてその声も聞こえなくなった頃、非常扉に凭れていた香澄の膝がかくんと崩れ、身体が沈み込んでいく。
 自意識過剰だったのかもしれない。普通同級生が悲惨な体験をするなど想像する方がおかしいのだろうし、鈴の音だけで特定されるなどあり得ないだろう。
 気が抜けて床に座り込んでしまった香澄は安堵の息をつきかける。今すぐにでもニップルリングを外してしまいたい衝動に駆られるが、命令に逆らうだけの勇気が少女にはなかった…逆らえば顔が特定出来ないでは済まない露出が即座に行われてもおかしくはない。そうなった場合、同級生達はすぐに香澄が被写体だと判ってしまうに違いない。
「……」
 何か形にならない疑問が頭の隅に浮かんで香澄をより不安にさせていた。今すぐ帰りたい気持ちなのだが、中途半端に力が抜けてしまい即座に立ち上がる事が出来なかった。学生証再発行手続きが済めば学校に居る必要はない。
 泣き出してしまいそうな呼吸を何度も繰り返すその目の前に、一枚の紙がひらりと落ちてきた。
 宿題などのプリントにしては小さなそれは葉書大で、そして何か明るい画像が一面に印刷されている様である。明るい、昼間の、鉄橋らしき場所と、そして顔までの全身を露出している香澄の姿。
「――!」
「びっくりしましたよ生放送で僕の家の近所でしたから。思わず兄の望遠借りて撮影しましたけど、急いだにしてはなかなか綺麗に撮影出来ていませんか?」
 饒舌な口調の主の上履きの足音が階段を降りてくるのを聞きながら、香澄は全身の血の気が引いて目の前が暗くなるのを感じていた。
「登校日までお会い出来ないと思っていました。嬉しいなー」
「安藤、ここでする話ではないだろう。――いいね?小早川さん」
 その声に香澄の疑問がはっきりと形になる…何故同級生以外が自分の苗字を知っているのか、である。
 床の上の写真から視線を上げられずに震える香澄の両腕が掴まれ、二人の男子がぐいと強引に引き上げる。ちりんと鳴る鈴の音に、香澄の身体を支える男子が薄く嗤うのがうす暗い視界の隅に映った。

 登校日でもない夏休みの校舎は静まり返っていた。
 部活があるとしても体育会系はグラウンドか体育館かプールが主で、文科系部活も別棟の図書館内の部室が活動拠点になる為、わざわざ校舎に寄る必要はないだろう。使用するとしても昇降口から教員室までの限られた区域で、理科室などの専門教室が並ぶ最奥にある資料室など通常時でも生徒は基本的に立ち寄らない。
 何故一般生徒が鍵を持っているのかの疑問が脳裏を掠めたものの、背後で鳴った内鍵のかけられた音に香澄の全身がびくりと震えた。
 換気急冷に設定されたエアコンが低く唸りをあげている中、夏休み数日分の空気の澱み以外にも古書のにおいが漂う資料室の中央で、香澄は俯いて古い板張りの床に視線を落とし、そして耐え切れず瞳を閉じる。
 楽しげな鼻歌をハミングしながら安藤と呼ばれた男子生徒がホワイトボードに貼り付けているのは先刻の香澄の画像の数々であり、純粋な被害相談の場ではない事を少女は悟らざるを得ない。
「安藤が最初の辺りからサイトを確認していてね。まさか小早川さんだと思わなかったよ。凄い事をするね」
「……」
 自分は被害者であって自主的に関与したのではないと香澄は主張したかったのだが、竦みきって呼吸をするのもやっとの状態だった。急速冷房の風が直接当たり涼しいくらいの状態で冷たい汗が滲み、香澄の蒼白な顔を伝っていく。
「この学校は厳しいからね。発覚したら自主的な転校もしくは退学辺りが妥当なのかな」
 教室程の広さの殆どを古い書架が占める資料室の窓際の、恐らく校長室などで使っていたであろう古びた重厚な机に肘を着いて椅子に座っている男子が香澄ににこりと微笑みかけた。
「小早川香澄さん?」
「……、は…はい……」
「僕達は君の秘密を知っている。――君はどうしたい?」
 穏やか過ぎる問いかけに、香澄の膝ががくがくと震え出す。
 恐喝で金銭を要求されても学生の身分の香澄では渡せる額などたかが知れている。親に何も聞かずに貸して貰える様に頼むと言う発想は彼女にはなかった…恐喝と言うものは限度がなく、いつか限界が訪れるものだった。善意で秘密にして貰えるのだと考えるには、撮影された画像の数が多過ぎる。だが他にもしかして何か道があるのかもしれない。香澄に思い浮かぶ要求以外の何かが……。
「あ…、あの……わ、私は…無理矢理…あの方々に…酷いことを……」
「うん。そうだね。多分強制猥褻がエスカレートした被害者だと思う。――自宅での生放送とか、とんでもないよね。ああ、そうだ盗聴器出しておいてくれないか?僕達の声まで記録されたくないから」
「――!」
 自分が盗聴器を持たされている事を何故彼らが知っているのか、その驚きに頭が真っ白になり動けなくなる香澄に、安藤が愉しげに歩み寄り、そしてポケットから携帯と盗聴器を抜き取って男子に渡した。興味深そうに盗聴器をくるくると指先で回した後、男子生徒は机の引き出しにそれを放り込みかけてから口元に寄せる。
「これから規定通りの活動に移行しますのでご安心を」
 その言葉の後、男子は盗聴器を放り込んだ引き出しを閉じ、そして携帯電話を弄り始めた。
「決めたくないなら大人しく従うのも、ありだと思うよ。――ねぇ?小早川さん」
 椅子から立ち上がり机の前に回ってきた男子は、ゆっくりと制服のスラックスのファスナーを下し、そして下腹部を露わにする。
「……」
 照明をつけていない資料室は校庭と渡り廊下に面した窓は古風な模様ガラスが填められており、磨りガラス程不透明ではなく細かに歪んだ像の形で屋外が見える状態であり、逆に屋外からも鮮明な象ではなくても資料室内を見る事は出来るだろう。
「自己紹介をしよう。僕は時任」
「……、わ……」
 見る様に無言の圧力を受けているのを感じ、ぎちぎちと張り詰め勢いよく反り返る男性器を見ては目を逸らす香澄へ携帯電話のレンズが向けられ、そして撮影音が軽やかに鳴った。
「ただの自己紹介はいらないよ。名前は知っているし、君のいやらしい姿は生放送でばっちり見てる。――盗聴器を使わない間、君の調教記録は僕達の仕事なんだよ。最低五分に一枚送るのが条件。さて、退学に追い込めるけど、僕達にどんな挨拶をしたい?」
 背後からとんと肩を安藤に押され、香澄はよろけて時任の目の前に膝をついてしまう。少し身体を寄せれば接してしまう位置にそそり勃つモノに、香澄は反射的に顔を背けかけるが、その瞳は絶望感と悩ましい潤みに揺れ、濡れきっていた。
 昨夜解放されてから嗅がずにいられた牡の性臭を鼻孔に受けた瞬間、香澄の全身がはっきりと震える。鈴の音はちりちりと鳴り続け、上擦ったかすかな呼吸をくりかえす唇が揺れ、香澄の唇と口腔が男達のモノの硬さと太さを思い出し、ちいさく柔らかな舌が口内で動く。
 衆人環視の中、傘の先で唇を撫で回される卑猥な感触のたびに辱められていると実感させられる暗い被虐の疼き。未だ恋人すらいない処女の唇をグロテスクで牡臭に満ちた傘で撫で回された後、まるで膣に見立てた様にずぶりと口内を犯していく傘と幹。頭を抑え込まれて揺さぶられるその中で、口内の粘膜を荒々しく擦りたてる鰓と、先走りの汁にまみれて一層濃くなり鼻孔いっぱいに満たす牡臭。舌を動かせ、頬擦りをしろ、根元から舐めろ、もっと強く吸いつけ…男達の命令が香澄の頭の中で残響の様に無数に甦り、清楚な美貌を怯えつつも蕩けたものへと変えていく。
「小早川はチンポ好きなんだね」
「……、ちがい……ます……」
 理性は決して許してはいけないと悲鳴をあげているというのに、香澄の唇は徐々にはっきりと喘ぐ呼吸を漏らし始めてた。

Next 朝曇り3
201109301400

■御意見御感想御指摘等いただけますと助かります。■
評価=物語的>よかった/悪かった
   エロかった/エロくなかった
   もっとエスカレートしちゃえ /そろそろやめてあげて
メッセージ=

表TOP 裏TOP 裏NOV BBS